旅行会社 H.I.S(エイチ・アイ・エス)のイタリアツアーに参加したらなにもかもが最悪だった話。

はじめに

 2017年11月。無事に就活も終わり、親孝行でもしようと、HISの「大満喫 イタリア紀行 8日間」のツアーを申し込みました。窓口の対応はよく、はじめての海外旅行でも安心して申し込むことができた…と、その時は思いました。思ってしまった。イタリア8日間の旅、親子二人で約40万円のツアー。はじめての海外だし、高齢の母を連れるなら重いスーツケースの持ち運びなどの心配も少ないだろうツアーで、と思ってしまった。この時点での自分を射殺したい気分に、今なっています。ツアー中も、何度そう思ったか。添乗員の対応から、移動中のバスの運転、食事、ホテル、現地での行程まで、全てにおいて悲惨としか言い様がなかったHISのツアーに、親子合わせて40万円。今回のツアーに使ったお金は、朝から晩までアルバイトをして貯めたお金でした。学費を捻出し、生活費を捻出し、そうしてなんとか工面したお金を、どぶに捨てさせられて、いったいこの悔しさはどこに向ければいいのか。こんなことが許されていいのか。その思いから、この記事を書くことを決意しました。海外旅行にツアーで行くなら、二度とHISにはお願いしない。このブログを読んで、私たちのような思いをする人が、ひとりでも減るように願っています。


1 窓口での対応

 具体的に何がひどかったのか、思い出すのも辛くなってくるイタリアツアーですが、その出発点である窓口の対応は、とても感じがよいものでした。これがよくなかった。受付のお姉さんが感じがよかったために、こんなことになってしまったとさえ思いました。

 はじめての海外旅行(※この時点では)で、色々とインターネットや書籍で予習らしきものはしたとはいえ、右も左も分からない状態の私たち親子に、受付の方は根気よく付き合って色々と紹介してくれました。「ホテルでの湯の出が悪いときに困るから、折り畳み式の桶を持っていくといいですね」とか、「ヨーロッパは石畳が多いですけれども、お母さまはどのような靴で行かれるご予定ですか?」とか、色々とアドバイスもしてくれました。それで安心してしまった。いくら日本での対応がよくても、結局現地では添乗員次第だということも分かっていたんです。だけど、少しでも安心してしまって、母も連れていくのだし、やっぱりツアーの方が安心だろうとそう思ってしまいました。

 後から思えば、あのツアーに関する感想はもちろん社員として把握しているはず(ツアー最終日にアンケートが配布され、封をしたものを添乗員が回収する)で、これまでにあのツアーに参加した人で、私たちのような思いをした人がいないとは到底思えない。それなのに、平然とした顔で商品を売りつけていたあのお姉さんは、いったいなんだったのか。恐ろしい、と思いました。どうしてあんなことができるのか。評判が悪いツアーを平然と薦めて、送り出す仕事があなたの仕事なのか。「最終日のローマ以外は、市内のホテルなのでアクセスの心配はないと思います」と言っていた言葉は裏切られ、日程が近づいてきてから送られてきた日程表に記載のホテルは、どう考えても交通の便がよいとは思えないところばかりでした。思い出すだけでしんどさが増します。

 

2 添乗員の対応

 これがひどかったです。あれ、なんかこれ大丈夫かな? そう思ったのが、出発日近くになるとかかってくる添乗員からの挨拶の電話でした。はい、と電話を取って3分ほど通話をして、切ったときには若干の不安に襲われました。とにかく滑舌が悪い。30代から40代くらいの女性の添乗員だったのですが、年の割にしゃべり方が年寄りのようで、例えるなら滑舌の悪いデヴィ夫人といった感じ。電話を受けたときは当然外見なんてわからないわけで、随分高齢の添乗員だなと思いました。

 滑舌が悪く聞き取りづらい喋り方の添乗員に当たってしまって、それだけならまだしも、この添乗員が本当になんというか質がひどかったです。現地で配られた日程表はかなりアバウトなもので、何時にどこに集合なのかは添乗員の案内次第。次にどこに向かうのかも添乗員の案内次第。大事なことを一度のアナウンスで済ませようとするどころか、案内さえないままバスがひたすら進むようなことも何度かあり、一日の予定がいまいちよくわからないまま進んでいる感覚でした。バスでの移動中、席を立つことは禁止されているので、空いた時間に聞きに行くこともなかなかできない。移動中にその土地のガイドなどがたまにあったのですが、これも滑舌が悪いためなにを言っているのかいまいちよくわからない。

 とにかく気を遣えない添乗員なんだな、という印象でした。気を遣えないというか、自分の仕事をなんだと思っているんだろうというか。とりわけ酷かったのが、歩く速度でした。添乗員を先頭に、集団でゾロゾロと歩くというのがツアーだと思うのですが、歩くスピードが速すぎて付いていけない。途中からは、脱落しないようになんとか着いていくのが精いっぱいという方もたくさんいて、添乗員の姿が見えないまま移動するなんてこともざらでした。先の予定が詰まっているとはいえ、そんなスピードで歩かなければ一日の予定がさばききれない行程を組むのはどうなのか。高齢者が大半であることは添乗員も認識しているはず。この年寄りの群れが見えないのか、と言いたくなるくらいのスピードで闊歩する添乗員は、いくらなんでも酷すぎると思いました。帰りの空港でも私たちのツアー添乗員が、姿を視認できないほどはるか前方を歩いているのに対して、他社(JTB)の添乗員が後方のツアー参加者をたびたび振り返りながら、適当な速度で歩いていたのを目にして確信しました。あの添乗員は頭がおかしい。

 

3 バス

 ツアーの移動はほとんどがバスで、交通マナーが悪いと聞くイタリアで、運転が荒いといっても説得力はないかもしれません。じゃあ、どれくらい悪いのかというと、運転が荒いあまり、アバラ骨にヒビが入るくらい悪かったです。比喩ではなく、実際に起こったことです。到着後1日目のミラノへ向かうバスでの出来事でした。通路側に座った母が、あまりの運転の荒さに、手すりで右わき腹を強打。最終日になっても痛みが引かず、帰国したその日に病院へ駆け込みました。場所が場所だけに呼吸をするだけでも痛く、せきやくしゃみもできない、寝返りも打てませんでした。そして運転が荒いバスに乗るため、酔い止めを欠かせない。そうすると、持参した痛み止めを飲むこともできない。運転手が現地人だとはいえ、提携する会社なり事業主を選ぶのはツアー会社の仕事です。…ということを言っても無駄ななのだろうなあ、と思わせるところがHISのすごいところ。

 

4 ホテル

 母の怪我と同じくらい、あるいはそれ以上に腹が立ったのがこのホテルのレベルの低さでした。怪我はまだ運転が荒いイタリアでの事故、という見方もできるでしょう。でも、だったらツアー会社が選び、手配し、旅に最も欠かせないはずのホテルがこれ、ってどういうこと!?と一番わかりやすくキレるポイントがここでした。

 海外のホテルはお湯がでない、暖房器具の調子が悪いことが多い、なんてことはよく聞きます。でも、ヨーロッパに限って言えばそんなことはない、ということをこの時の私はよく知っていました。というのも、英語があまりしゃべれない母を連れて、日本より治安の悪い海外に行くことを不安に思った私は、イタリア旅行の予習もかねて、友人と1か月間ヨーロッパ周遊の旅行に行っていたのです。友人との周遊旅行は楽しかった。大変なことも多かったですが、初の海外旅行で、こんなに色々な国を見て回って、様々なことを経験して、吸収して帰ってこれたことはとてつもない達成感と満足感がありました。航空券からホテル、観光の予約や国と国との移動手段、すべてを自分で考え、旅をした1か月間が忘れられません。途中パリ北駅での爆弾騒ぎに巻き込まれ、「いま爆弾を探しているから封鎖中だ」と言われ、「ボム!?えっボムってあのボム!?」などとビビりまくったあの頃が懐かしいです。テロとか大丈夫かな、という不安から予習兼卒業旅行を決めたけど、本当に行っておいてよかったと思いました。周遊旅行で鍛えてなかったら、現地で放り出されたあとホテルに帰る手段も分からなかったかもしれない。実際、一緒のツアーになったおばあさん二人組は、一日自由時間の日をほとんどホテルで過ごしたと言っていました。恐ろしい。意味わからないHIS。

 話はそれましたが、とにかく案内されるホテルすべてが、私がヨーロッパで泊まったどの国のどの格安ホテルやホステル、ドミトリーよりもひどかったのです。お湯は出ないし、暖房はきかない、目に見えてカビだらけの空調に、あまりに郊外かつ交通の便が悪いホテルのロケーション。最終日のホテルは特に最悪で、一日自由時間というだけあってホテルから自由行動なわけです。バスが出されるけれど、日本円で一人往復2000円。これ以上金をとるのか、と言いたいほどの豪通張りであまりのえげつなさに声も出ませんでした。事前の説明はまったくなく、日本円を持っていない方は乗れないとあきらめて、ホテル前からローマ市内の中心部までタクシーを捕まえたそうです。バスがホテル近くから出ていると聞き、私たち親子はそのバスに乗って市内に向かったのですが、まずこのバスが一時間に一本しかない。バス停に時刻表はなく、近くの現地人に聞いてみると「この〇系統のバスは一番不便なんだよ。一時間に一本もないくらい」とのこと。そして待つこと1時間、やっと来たバスに乗ること40分。やっと市内に入り、メトロやバスで一日をローマで過ごしたのですが、もうなにもかもが辛くて、とうとうコロッセオの前で号泣してしまいました。こんなことになってしまって、自分が情けないこと。母がHISじゃなくてJTBにしたら、と言ってくれたのを、二人で60万円は出せない、と突っぱねてしまったこと。安かろう悪かろうのHISに騙されてしまったこと。コロッセオの前で号泣する日本人もなかなかいないんじゃないかな、と思います。そもそも旅行に来て泣いてる人って……と思ったら、ホテルに帰って偶然会った同じツアーのおばさんも泣いてしまったそうで、なんともいえない気分になりました。泣き寝入りだけはしたくない、せめて一矢報いたい、同じ思いをする人が一人でも減ってほしいと思って、いまブログを書いているわけですが、思い出すだけであの時のしんどさが戻ってきた気がします。

 そうしてコロッセオ前での大号泣を終えたあとは、幾分か落ち着いて、もうここまで来たら自由行動なのだし、手前で観光する分には問題ない!と真実の口やトレヴィの泉パンテオン神殿、スペイン広場を見て、ローマを満喫したのですが、帰ったホテルは前日に引き続き風呂のお湯が思いっきり冷めている状態。フロントに掛け合って、雑な対応にもめげずに交渉して直してもらいましたが、一人入ったあとで温度が下がったのか母が入ったときは前日のようなぬるさだったそうで本当に質が低いと感じました。

 どんな安いホテル、たとえば一人二千円のドミトリーであっても、シャワーに入っていて寒いと感じたことはなかった周遊旅行の経験からすれば、本当に質の低いをとっているのだなと思いました。郊外も郊外のホテルを取っておいて、何のサポートもないのは最終日だけではなく、全日程においてそうでしたので、団体客を入れることで成り立っている格安ホテルを使い、利益を確保しようという透けて見えたような気がします。これならば、駅前のホテルに宿をとって、母のスーツケースでの移動がないよう、大容量のスーツケースに二人分の荷物を入れ、私が引くというスタイルの個人手配での旅行の方が何億倍もマシだ、ということを旅行中何度思ったか知れません。それが高じて号泣してしまったワケなのですが、HISのツアーをわざわざ利用して、それで安全や移動時のラクさが買えるわけでは決してないです。むしろ手配された移動中のバスでアバラを折ったり、郊外にあるうえに便も悪くシャワーのお湯も出ないホテルに放り込まれる危険性の方が高いです。…ということを、参加する前に知っておきたかった。HISは悪い評判もいい評判もそれぞれ聞いていて、まあ人の感じ方はそれぞれだし、そういうのはどこの会社もおなじだろうと思っている方には、本当に心のそこから他社をおすすめしたいです。

 

5 食事

 食事は三食すべてついてくるところもあれば、自由行動中に食事時間が含まれている場合は、二食かまたは一日なしというのは日程表通りでした。それならその不味さも日程表に付け加えておいてほしかった、というのが食事についての感想です。パスタやカツレツ、ピザ、リゾットと、メジャーどころの料理がメニューだったなかで、どれをとっても美味しいといえるものがなかった。これは逆にすごいとしか言いようがないと思います。イタリア料理が予想よりまずかったということは恐らくないと思います。周遊旅行で訪れたフランスは、美食の国というイメージとは裏腹にあまりおいしいものに巡り合わなかったので、そのパターンかという思いも捨てきれなかったのですがそんなことなかった。自分で選んで入ったお店で食べたパスタやピザは美味しかった。正直微妙なところもあったけどそれでもHIS手配のお店より100倍マシ。中盤からはツアー付属の食事があると思うと気落ちしてしまってダメでした。食べられなくはないけど食べたいとはとても思えない。そんな料理にすでにお金を払っていて、出されたからにはもう食べるしかない。これはこの時点で相当な拷問です。その料理を回避するという贅沢の思考は私にはなかったのですが、かといって周辺が暗闇に包まれたホテルの周辺にレストランがあるかというとそんなことはないわけです。当然、デリなんかが売っているスーパーもない。最終日のホテルはぎりぎり目の前のバーが美味しそうだったという母の情報を頼りに行ってみたらアタリだったという、幸運な出来事がありましたが。

 そして、それはないだろうと思ったのが、食事での飲み物代が現地払いだということ。いやいくらなんでもそれは。事前説明では、現地で使うお金は、お土産代くらいだったというお話でした。それが、途中から宿泊税もまとめて現地通貨で、飲み物代も現地通貨で、と出てくる出てくる。現金を持ち歩くことは絶対に避けるべき、というのが周遊旅行で学んだ鉄則であった私は、日本円でいうと5000円ほどの持ち合わせだったのでこれは焦りました。そもそも、宿泊税の支払いはカードでできないから、あとでまとめて頂きますという説明自体が嘘で、フロントに聞けば「全然OK」とのことでした。そりゃそうだ。ヨーロッパのどの国でもOKだったんだから。飲み物代にしても、飲み物の料金がひとりひとり違うとはいえ、そこは飲み込んでツアー料金に含ませておくべきではないか思いました。「これこれこういうことにお金がかかっていて、トータルで一人20万円ほどです」と言って、実は飲み物代や宿泊税、自由行動日に郊外のホテルで放り出された際の市内までの移動費を省いているというのは、「海外旅行には行きたい、けどあまり大きな金額は出せない」という人間を釣るためのエサなのではないかとここまでくると勘ぐってしまう。申込みの時点での説明がないって、そういうことじゃないの?

 

6 観光内容

 現地ガイドの人は本当によかったです。イタリア人の女性の方で、とても丁寧で聞き取りやすい日本語を流暢に話していたので本当にうれしかった。内容も世界史の知識ダラダラ垂れ流しているとしか思えない添乗員のガイドと違って、きちんと現地の風習や細やかな成り立ちのことなどを話してくれてとてもためになりました。

 しかし、ウフィツィ美術館での日本人現地ガイドがひどかった。何を説明しているのか、ついていくのが精いっぱいで頭に入ってこないうえ、本当に有名な絵をただ説明するだけ。なにを見に来たのかわからない30分で、そもそもウフィツィ美術館が30分という時点でどうなのかという話。美術に興味がある母は残念そうで心苦しかったです。

 観光内容、というより行程の話になってしまうのはもう仕方がないのですが、意味の分からないことにフィレンツェでの午前中の観光が終わった後、昼食のレストランへの移動に40分間、どこへ向かうのか、あとどれくらいで到着するのかもわからないほど遠いレストランへ歩いて移動させられたのは、本当に腹が立ちました。午後は自由時間なのだから、中心部で解散させればいいものを一体、なにがしたくてあれほど歩かされたのか。40分以上歩かされた先で食べさせられたきのこのパスタは安定の不味さで、本当に意味がわかりませんでした。参加者の親子は私と同じ大学生の娘さんと来ていたそうなのですが、お母さんの方がもう息も絶え絶えで、私の母も疲労困憊の状況。いったい何がどうして、と思い地図を開いて気づいたのが、そこが朝移動バスで下ろされた場所で、午後のオプショナルツアーの発着所だということです。つまり、オプショナルツアーの都合がいいところに誘導するため、こんなところまで歩かされたのかと思うともう腹も立たないというか、腹が立ちながらも、もう午後の自由時間はここからどう移動すればいいのかと。駅とは反対側のところまで40分歩いてきてしまったから、また戻らなければいけないことに愕然としたりだとか、バスがないのか店員に聞いたりだとか。もう本当に大変でした。いったい何を考えてあの行程を組んだのか、添乗員なりレストランを案内した日本人現地ガイドなりの胸倉掴んで地面にたたきつけたいくらいです。

 そして、毎度毎度時間を取って案内される日本人向け土産物店。これには本当に閉口しました。免税店ならまだわかる。有料トイレの多いヨーロッパで無料のトイレを借りられるいい機会だし、免税店に行きたくて旅行に来る人もいるくらいだ。それがただの日本人の団体旅行客に物を買わせたいそれだけの、おそらくHISにマージンがガンガン入っているだろう「お土産物屋」さんに強制連行。件のウフィツィ美術館が30分だったのに比べ、同じフィレンツェでの土産物屋では45分の所要時間が配分されていて本当に意味が分かりませんでした。免税店であったとしても、あるいはトイレ借りるというメリットがあったとしても、45分はありえない。だったらウフィツィ美術館に1時間15分かけるわ、という気分です。それが、もう全日程に組み込まれているものだから吐き気がしました。窓口のお姉さん、とても詳しく一日一日予定を教えてくれたのに、事前に説明がなかったのは一体どういうつもりだったのかな。

 

おわりに

 初めて海外に行く人、個人手配をする時間の余裕やスキルがない人、語学に不安がある人、旅行には行きたいけれど一人旅は不安な人――こういった人々がツアーに参加するのだと思いますが、「大満喫」のイタリア紀行 8日間、とコマーシャルしておいて、①思いやりがない、②誠意がない、③つめ込みすぎ。「通過」で済ませられるほど、イタリアの文化遺産は軽くないと思いました。ツアーの組み方に誠意を感じない。文化遺産は時短なのに、革製品や土産物屋、ローマ三越では30~40分も時間をとる。売らんかな主義丸出しの不快なツアー。懸賞で当選した無料ツアー並みで、無料なだけそちらの方がマシというレベルでした。とにかく下品で、思いやりのかけらもないツアーと旅行会社でした。自由時間が一番充実していたほど。

 添乗員がどこの案内でも早足だったことは前述したとおりですが、本当にどこに行くにもついていくのが辛く、楽しいと感じる瞬間がありませんでした。参加者のほとんどが高齢者という状況で、あそこまで我関せずという態度の添乗員を放置しているHISという会社が信じられません。こちらも全く誠意を感じませんでした。他社のツアーと時折一緒になったけれど、見る限り皆さん楽しまれていて、HISにして本当に失敗したと思いました。安かろう悪かろう、と言えるほど40万円は安くないし、悪いにもほどがあります。高齢の母を連れていても、個人手配で旅程を組んだ方が余程自分たちのためになりました。

 書きたいことはもっと山ほどあります。それこそ、写真と日程表を照らし合わせて、1分単位で対応のひどさを細かく書いていっても足りないほど、辛く悲しく酷いツアーでした。だまされた、と言葉が一番ふさわしいと思います。人を傷つけて平気な人間が経営している会社なのだろうし、これから先も変わることはないのだろうと思います。旅行から帰って、アバラ骨を折った母と病院へ行き、レントゲンを撮っている母を待合室で待っているとき、自分が傷つけられたのだということに気づきました。親孝行のつもりで連れて行った母に、結果としてとてもつらい思いをさせてしまったことが辛く、コロッセオの前で泣いたことを思い出しました。

 もっと仕事に情熱と誇りを持ってください。このツアーを企画した人、添乗員さん、窓口のお姉さん、全てのHISの方へ。言いたいことはそれだけです、と言えないほどひどいツアーでした。私たちはもう二度とHISにはお願いしませんし、倒産を願ってやまない毎日ですが、それでも少しでも良心が残っているなら、こんなにひどいツアーを売りつけることは二度としないでほしい。本当に、ひとかけらでも残っているなら、の話ですが。